父が施設に入所した後の実家売却を検討していた事例

状況

父79歳には一人息子がいましたが、息子は東京で生活しているため、さいたま市で一人暮らしをしていました。 しかし、食事等の身の回りのことを一人ですることが難しくなってきたため去年息子に進められ、近くの老人ホームに入所しました。 空き家になった父の自宅は、東京の息子が住む予定もないため、売却し施設や、施設で必要な生活費に充てようと考えています。 しかし、最近物忘れが目立つようになり、もし認知症を発症してしまったら実家は凍結し、売却できなくなるため、息子にも迷惑をかけたくないと、事前に対策をしようと考えていました。 また、子供が1人のため、実家の評価額から相続税が発生してしまうことも想定されるため、相続税の対策のために資産運用にも使用したいと考えていました。

専門家からの提案

父と息の間で、委託者兼受益者を父、受託者を息子として、自宅を信託財産とする家族信託の契約を行います。 契約の中で、家族信託ついて相談していた専門家を信託監督人として、家族信託についていつでも相談でき、監督してもらえるように契約しました。 受託者の息子には、信託監督人になった専門家の同意のもと、父が認知症を発症した後には実家を売却できる権利を付与しました。さらに信託監督人の同意があれば、父の老後資金を枯渇させないという条件のもと、実家売却で得た資金の余剰分で東京の物件の不動産投資が行えるように設定しました。 実家の所有権について一見不安な点があるようにも見えますが、家族信託の内容(実家の売却の権限)は、登記され、第三者が見ても安心できるものとなります。

結果

父が認知症を発症してしまいましたが、息子が実家を売却し老人ホームの費用に充てることができました。
また、売却して得た資金の余剰分で息子は住んでいる近くの不動産を購入し、父の老後資金を得るために生活圏の不動産を管理することができました。

 

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